音楽療法

音楽療法(music therapy)とは、音楽を聞いたり演奏したりすることで心身の健康の回復、向上をはかる医療行為です。

活動的音楽療法と言われる音楽の演奏などを楽しむ方法と受容的音楽療法と言われる音楽を聴いて楽しむ方法の2つがあります。


音楽療法は西洋医学や東洋医学のような医療行為とは区別して代替医療(Alternative Medicine)あるいは補完医療(Complementary

Medicine)といわれます。 当然ですね。 薬や注射をするわけではなく自宅で音楽を聴くレベルの事までを音楽療法の範囲と考えると外科医や内科医の医師が行なう医療行為とは異なります。


代替医療ガイドブックによると「音楽療法は立証済みの補完療法であり、多くの病状や問題に効果を上げている。治癒力はなく、いくつかの補完療法のように、重大疾患の治療法として勧められることもない。しかし、優れた補完医療法の例にもれず、幸福感や生活の

質を高め、症状を軽減し、初期治療やリハビリテーションの効果を高めてくれる」と書かれています。


音楽療法を知らない人が多いかもしれませんが既に立証済みな代替医療なのです。


音楽療法や音楽療法士に関する認知を深めて今直面している問題があれば考えてみるとよいかもしれません。



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音楽療法とは?


音楽は好きですが? あなたの好きな音楽はどんな音楽ですか?

その音楽を聴いてどんな気分になりますか?
楽しい気持ちになったりスッキリした気持ちになった事は誰にでもあると思います。

まさにその気持ちの通り、音楽には不思議な気持ちに働きかける力が秘められています。
この力を最大限に利用して心身共に健康に導いてくれる事を音楽療法と言います。
また、音楽を聴くだけでなく、楽器を弾いてみたり、歌を歌ってみたりする事も音楽療法に含まれます。

音楽療法は最近いろいろな医療現場で取り入られており、大変注目されている治療法の1つです。
音楽が癒しに使われた歴史は古く、3000年前のユダヤ王サウルのうつ病をダビデという羊飼いの若者がハーブの調べで治した事は、現代でも語り継がれているくらい音楽療法には歴史があるようです。

古代ギリシャのアリストテレスは、音楽には身体に溜まった悩みやもやもやを吐き出してスッキリさせる効果があると言っています。それをカタルシス効果と呼んでいます。

また中世時代は、キリスト教がいろいろな面で強く支配されていた時代と言われています。
病気に対する考え方も同様でした。それがルネッサンス期に移ると画家達が描く解剖図といった美術と医療、そして坐骨神経痛の患者の患部の上でフルートを演奏し治癒したといわれるようね音楽の総合的な活動が注目されていきました。
そして近代、音楽療法の主役はアメリカへと移り当時の大統領のジョージワシントンも音楽療法に興味を示し軍隊などにも使われ始めました。

現代では軍隊だけでなく医療において、精神疾患をもつ患者のレクリエーションとして、
楽器を演奏や発声訓練をしたりするなど、うつ病・精神不安定な状態の患者の治療に積極的に取り入れられています。

また、最近では重度心身障害児の精神発達のための治療方法としても取り入れられているなど補助的療法と言われる程、注目されるようになっています。

日本でも、音楽療法は心と身体を健康に導くという研究が20世紀に入ってから進み、現在では全音連認定の音楽療法士が沢山誕生している程注目されている治療となりました。


音楽療法の有用性

皆さんが何気に耳にしたり聴いたりしている音楽

好きな音楽を聴いてあなたは、楽しい気持ちになったり、癒されたりしませんか?
音楽には想像する以上に大きな力があると言われています。

音楽の力には、心理的・生理的・社会的に影響すると言われています。
心理的には感情と記憶を刺激し、生理的には身体的に変化をもたらし、社会的には人との交流のきっかけを作ってくれます。

活用法は普通誰もがいつもやっているように音楽を聴いたり、歌ったり、楽器を鳴らしたりします。
そしてリズムに乗って動いたり、作曲も効果的とされています。

この音楽を聴く事を受動的音楽療法
歌ったり、楽器、動く、作曲などを能動的音楽療法といいます。

基本的体験は、受動的音楽療法は痴呆症・ダウン症といったすべての障害のタイプの利用者に応用する事ができ、能動的音楽療法にも楽器習得は自己規律、自己能力への信頼・人の内的な状態が忠実に出たりする事などを体験する事が出来ると考えられています。

それではどういった効果が期待出来るのでしょうか。
例えばアー、ガーという声しか発していなかった11歳のダウン症の男の子に約二年間にわたって、30分の個人セッションとクワイヤーホーンという楽器を鳴らすことで、その音で擬音で表すうちに発音や言葉だけではなく歌詞つきの歌も歌えるようになり、ついには太鼓を鳴らしながら歌う事が出来るまでになり多くの人を驚かせました。

また、60歳代半の男性が脳梗塞により四肢麻痺なり、そのせいで意思疎通はアイコンタクトしかなくなってしまいました。
何か楽しめる事はないかと考え、かって彼が好きだった曲をキーボードで弾きはじめ、曲のレパートリーを広げるうちに好みの歌手の時には真剣な表情を示したりフィンガーシンバルで音が出ると本人が喜ぶといった表情を見てもわかる程の変化を示しました。

このような結果からも音楽療法は実に効果がある療法と言えます。
現在では序所にですが日本の医療現場でも使われてくるようになり、徐々に浸透してきています。

音楽療法の効果

音楽療法はいろいろな効果があると言われています。
実際どのような患者にどういった効果があったのか岐阜県音楽療法士(略称GMT)の報告の中からいくつか見てみました。


事故の後遺症による身体障害者の男性は、ギターを使ったセッションをすることで、爪を弾く指に力が出てくるとゆう効果があったそうです。
他にも鼻と口の両方から漏れていた息がホイッスルでリズムを刻む練習をすることにより、口と鼻がコントロールされ言葉が明瞭化したそうです。
また、いつも怒りっぽい人が活動中とその後は穏やかになったり、あらゆる事を拒否していた人が、音楽で揺らされることを好み、その後人と手をつなぐなどの効果も出ています。

活動の様子から研究すると、療法の対象者の性格や人との関係のとり方がわかってきました。
また、人の生き方に様々ないきさつと環境にも原因があると考えられています。

楽器演奏に対して自分には出来ないと決めていた人が音が出て喜ぶと同時に、また叩いてみたいという意欲が出てきたり、
音楽は嫌いと言っていた人がボンゴの音に「おー」という感動の歓声をあげ、その後は謡の一節を朗々と歌いだす。
人前で歌を歌い、拍手を受けたといった体験はまんざら悪くない、交流を促していくときに大変大きな精神的支えとなったと継続的な活動から考えられています。

目立たなく大人しい児童が、音楽の活動をすることにより、母親を始め周囲が驚く様々な能力があることがわかり、その子に対する療育の姿勢が変わっていったそうです。
家庭のた中では、たくさんの音楽や絵本に囲まれ育った精神発達障害児は、本人の意思を表す表現は少なかったが、
好みの音楽や楽器を利用した活動の中で、本人から周りの人へのサインが増えるようになたと言ってよいでしょう。

障害児と母親のスキンシップに音楽があると積極性が増すと言えるのではないでしょうか。


音楽療法士とは

音楽療法の認知度が増えてきたことで音楽療法を学びたい方は最近では年々増えてきています。

音楽療法士の資格を取るための学校も増えていますが、音楽療法士にはどのようなカリュキュラムがあるのでしょうか。
音楽療法士には沢山の学校がありますが、殆どの学校では音楽療法士の資格の他にホームヘルパーの資格も取れる所が多いようです。
他にも学校によって取れる資格も違うようですが、どのようなスケジュールがあるのでしょうか。


主に音楽療法資格取得のスケジュールは2年制の学校が多いようです。

1年生のカリュキュラムは音楽心理学や音楽教育学・ギター ・音楽療法概論・音楽療法基礎2,3・児童音楽療法1・児童音楽療法2・児童音楽療法3・などと児童に関わる音楽や精神科音楽療法1・精神科音楽療法2・高齢者音楽療法・老年医学・歌唱伴奏法2・精神医学・心身医学・発達心理学1など高齢者や障害者に関わる音楽音楽療法に必要な心理学、発達心理学2など、他にも多くのことを学ぶ事が出来ます。
1年の時は、心理学や音楽心理の事を学ぶ事が多いようです。

2年生では、日本歌謡史・応用民族音楽学・三味線・器楽2・即興演奏2・民踊・ロールプレイング・集団音楽療法・集団力動・臨床実習・インターンシップ・リハビリ学・精神科障害学・臨床心理学2・社会福祉概論・児童障害学・スピリチュアル・ケアなど介護と音楽療法のまとめのような勉強をします。

他にも通信講座などいろいろありますので、勉強したい場合にはいろいろと調べてから学校を選ぶといいと思います。

音楽療法のQ&A

近年の人の生活には、常に音楽が回りにあります。
その音楽で勇気づけられたり、癒されたりする事がよくあります。

音楽療法はこの作用を積極的に利用し、身体に生じる様々な障害の改善や疾病の治療に役立てる事に効果があると言われています。
効果は一般の病気に多い風邪を改善したり、病気が治るなどの即効性の効果があるとは言えません。
しかし、障害を抱えた人に音楽療法で障害を改善したり回復・生活の質を向上させる効果があるようです。


また、音楽療法はリラクゼーション効果を狙ったヒーリングミュージックやレクリエーションとは違い、
それぞれの患者のその時に必要な音楽を提供し音楽によるコミニュケーションを図る事も出来るのです。
そして、その場限りのレクリエーションとも違い治療経過を踏まえたうえで、治療目標が設定されているので継続的に行われます。

それでは、音楽療法はどのような症状の人によい効果があるのでしょうか。
健常者に効果があるのは良く言われていますが、アルツハイマーや痴呆を含む高齢者や自閉症やADHD・ダウン症などの発達障害をもった方、統合失調症や神経症などの神経障害、言語障害や肢体不自由などの機能障害などまで幅広い層の症状に効果があるといわれています。
もちろん音楽経験が有るか無いかということは関係ありません。

よって音楽療法は病院の中での代替医療として大きな可能性を持ち、児童福祉施設や高齢者施設などだけでなく医療の現場全般において様々な疾病のリハビリテーションや終末期医療の中で心のケアなどにも期待されている療法なのです。


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